千葉石(ちばせき、chibaite)は、鉱物(酸化鉱物)の一種。化学組成はSiO2·n(CH4,C2H6,C3H8,C4H10)(n=3/17(max))、結晶系は等軸晶系。

2009年に千葉県の採石場で発見された日本産新鉱物で、名前は発見地の県名にちなむ。

産出地

千葉県南房総市荒川(原産地)。

性質・特徴

基本的な化学組成はSiO2(二酸化ケイ素)であるが、結晶格子内部にCH4(メタン)、C2H6(エタン)、C3H8(プロパン)、C4H10(イソブタン)を含んでいる包接化合物である。

結晶構造はハイドレートII型である。ちょうど、メタンハイドレートII型の水分子を二酸化ケイ素に置き換えた構造に相当する。

ちなみに、ハイドレートI型はメラノフロジャイトである。ガスハイドレート鉱物としては、千葉石とメラノフロジャイトだけしか知られていなかったが、その後の2020年12月に国立科学博物館や東北大学などの連名で、千葉石に類似の新鉱物である房総石の発見も発表された。

千葉石は透明な八面体結晶をしている。白濁したものは石英に変質している場合が多いが、白濁したものの下にまだ透明の部分が残っている場合には、そこが千葉石である場合もあり、一概には言えない。

サイド・ストーリー

原産地の荒川は、シロウリガイの化石が産出する場所であるが、このシロウリガイ化石の採集時に、奇妙な結晶の石英が発見された。発見された結晶は石英であるが、その仮晶の元となる鉱物が問題であった。初めはクリストバル石、もしくは日本では未発見のメラノフロジャイトと思われていたが、透明な結晶が見つかり、分析したところ、未知の鉱物であることが判明した。

脚注

参考文献

  • 門馬綱一ほか「千葉県南房総市荒川から産出した包摂化合物結晶について」『日本鉱物科学会年会講演要旨集』、日本鉱物科学会、2008年、107頁。 
  • Koichi Momma; et al. (2011). “New silica clathrate minerals that are isostructural with natural gas hydrates”. Nature Communications (Nature Publishing Group) 2. doi:10.1038/ncomms1196. ISSN 2041-1723. http://www.nature.com/ncomms/journal/v2/n2/full/ncomms1196.html. 
  • 門馬綱一、池田卓史「新鉱物 千葉石(chibaite)について」『ゼオライト』第28巻第1号、ゼオライト学会、2011年、25-32頁、ISSN 0918-7774、NAID 40018752251。 
  • 門馬綱一「天然ガスを含む新鉱物「千葉石」とは? その可能性は?」『マテリアルステージ』第11巻第2号、技術情報協会、2011年、1-4頁、ISSN 1346-3926、NAID 40018844603。 

関連項目

  • 鉱物 - 酸化鉱物
  • 鉱物の一覧
  • 日本産新鉱物
  • 石英、メラノフロジャイト
  • クラスレート
  • メタンハイドレート

外部リンク

  • 独立行政法人物質・材料研究機構 (2011年2月16日). “天然ガスを含む新鉱物『千葉石』”. プレスリリース. 2011年12月5日閲覧。
  • 独立行政法人産業技術総合研究所 (2011年2月16日). “天然ガスを含む新鉱物『千葉石』”. プレスリリース等. 2011年12月5日閲覧。
  • 高橋直樹 (2011年2月26日). “新鉱物「千葉石」の発見”. コラム. 日本地質学会. 2011年12月5日閲覧。
  • 千葉県立中央博物館. “平成22年度トピックス展 「新鉱物発見!名前は「千葉石」!”. 企画展示. 2011年12月5日閲覧。

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