舎利礼文(しゃりらいもん)は大乗仏教の経典の1つ。僅か72字の本文に大乗仏教の主旨が説かれているとされ、釈迦の遺骨(仏舎利)を礼拝する内容から始まる。一部の宗派を除き一般に葬儀・枕経・回向用の読誦経典の1つとして用いられているが、特に、曹洞宗では開祖(高祖)道元の火葬の際に読誦されたことから重要視されている。作者は不明であるが不空金剛が伝えたとも、釈道安が作ったともいわれている。実際には、中国漢文としては不自然であること(たとえば題名は正しくは「礼舎利文」となるはずである)、古い時代の写本が存在せず、他文献からの言及としても1283年成立の「沙石集」より以前に遡ることはできないので、そう遠くない時代の日本の密教僧による撰述である可能性が高いと考えられる。
内容
遺骨の礼拝を通して釈迦の本質や法、世界全体を礼拝し、如来と一体となって悟りを得、仏の力によって人々を救済し、悟ろうとする心で菩薩行を修めれば、涅槃にいたり大智が完成される。
代表的なテキスト
注:原文テキストは”小林正盛 編『真言宗聖典』, 森江書店, 大正15, p.181”。旧字体を新字体に改める。
※ 各派で読誦されるテクストであるが、本地法身・法界塔婆・入我我入・加持などの語彙によって、密教僧によって書かれたことがわかる。密教における「塔婆観・入我我入観」すなわち、法界塔婆=塔婆として表象された法身仏(密教では大日如来とその三摩耶形)と一体になることを観想する修行法が明らかに想定されているため、ここではその意に即して訳出したが(参照『金剛界念誦次第』ほか)、密教以外の各派ではそうした密教的背景を捨象して解釈されることが多い。
外部リンク
- つばめ堂通信「舎利礼文」 - ウェイバックマシン(2019年3月30日アーカイブ分)
- 臨黄ネット「経典」
- Youtube「舎利礼文」




