ナデシコ目 (ナデシコもく、Caryophyllales)は、双子葉植物の目の一つで、ナデシコ科をタイプ科とするものである。

分類

APG IIIでは33科を含む大きなグループで、大きく3つのクレードに分けることができる。

ナデシコ科を含むクレード

初期に分岐した4科を除くと、クロンキスト体系のナデシコ目と一致する。これは子房の形態的特徴から中心子目 (Centrospermae) とも呼ばれたグループで、新エングラー体系のアカザ目に相当する。またナデシコ科を除きベタレイン系色素(テンサイ、ツルムラサキ、ヤマゴボウに含まれる赤紫色のベタニンなど)を含むのが特徴である。サボテン科、スベリヒユ科、ハマミズナ科など多肉植物も多い。Macarthuria(10種)・Hypertelis(8種)の2属には未だ科が割り当てられていない。

  • ラブドデンドロン科 Rhabdodendraceae - 1属3種
  • シモンジア科 Simmondsiaceae - ホホバのみ1属1種。
  • Asteropeiaceae - 1属8種
  • Physenaceae - 1属2種
  • Microteaceae - 1属9種
  • ヒユ科 Amaranthaceae - 174属2500種。ハゲイトウの仲間。アカザ科(ホウレンソウなど)も統合されている。
  • アカトカルプス科 Achatocarpaceae - 3属7種
  • ナデシコ科 Caryophyllaceae - 86属2200種。カーネーション、ムシトリナデシコなど。
  • Stegnospermataceae - 1属3種
  • Limeaceae - 1属21種
  • Lophiocarpaceae - 2属6種
  • Barbeuiaceae - 1属1種
  • ハマミズナ科 Aizoaceae - 123属2035種(stone plant、マツバギクの仲間)
  • Gisekiaceae - 1属5種
  • Sarcobataceae - 1属2種(グリースウッドの仲間)
  • ヤマゴボウ科 Phytolaccaceae - 18属65種(ヤマゴボウの仲間)
  • オシロイバナ科 Nyctaginaceae - 30属395種。オシロイバナ、ブーゲンビリアなど。
  • ザクロソウ科 Molluginaceae - 9属87種。ザクロソウの仲間。
  • ヌマハコベ科 Montiaceae - 14属500種
  • Halophytaceae - 1属1種
  • ディディエレア科 Didiereaceae - 7属16種
  • ツルムラサキ科 Basellaceae - 4属19種。ツルムラサキの仲間。
  • ハゼラン科 Talinaceae - 2属27種
  • アナカンプセロス科 Anacampserotaceae - 3属32種
  • スベリヒユ科 Portulacaceae - 1属100種。スベリヒユ・マツバボタンなど。
  • サボテン科 Cactaceae - 131属1866種。サボテンの仲間。

食虫植物クレード

ツクバネカズラ科を除く多くの種が食虫植物である。

  • モウセンゴケ科 Droseraceae - 3属115種。モウセンゴケの仲間。
  • ウツボカズラ科 Nepenthaceae - 1属90種
  • ドロソフィルム科 Drosophyllaceae - 1属1種
  • ツクバネカズラ科 Ancistrocladaceae - 1属12種
  • ディオンコフィルム科 Dioncophyllaceae - 3属3種

タデ科を含むクレード

  • フランケニア科 Frankeniaceae - 1属90種
  • ギョリュウ科 Tamaricaceae - 5属90種
  • イソマツ科 Plumbaginaceae - 27属836種。ルリマツリ・アルメリアなど。
  • タデ科 Polygonaceae - 43属1110種。タデ・ソバなど。

系統

ナデシコ目系統樹(“†”で示されている箇所は、ブートストラップ法で80%以上の支持を得ておらず、50〜80%の間の支持に留まっている分類クレードである)

過去の分類体系

ディディエレア科はスベリヒユ科、Sarcobataceaeはアカザ科、Stegnospermataceae・Barbeuiaceaeなどはヤマゴボウ科に含められていた。から分離された1属である。ホホバ科はトウダイグサ目に分類されることもある。

クロンキスト体系

クロンキスト体系ではナデシコ亜綱のタイプ目である。APGにおけるタデ科・イソマツ科はそれぞれ単型の目とされ、ナデシコ目と併せ3目でナデシコ亜綱を認めている。モウセンゴケ科とウツボカズラ科はドロソフィルム科とともにウツボカズラ目とした。サラセニア科とのこりの科はスミレ目へと分類し、この2つの目はビワモドキ亜綱にふくまれる、としている。APGでのAsteropeiaceae と Physenaceae は、それぞれツバキ科とフウチョウソウ科に分類されている。

被子植物門 Magnoliophyta
双子葉植物綱 Magnolliopsida
ナデシコ亜綱 Caryophyllidae
ナデシコ目 Caryophyllales
  • ヤマゴボウ科 Phytolaccaceae
  • アカトカルプス科 Achatocarpaceae
  • オシロイバナ科 Nyctaginaceae
  • ハマミズナ科 Aizoaceae
  • カナボウノキ科 Didiereaceae
  • サボテン科 Cactaceae
  • アカザ科 Chenopodiaceae
  • ヒユ科 Amaranthaceae
  • スベリヒユ科 Portulacaceae
  • ツルムラサキ科 Basellaceae
  • ザクロソウ科 Molluginaceae
  • ナデシコ科 Caryophyllaceae

新エングラー体系

新エングラー体系ではクロンキストとほぼ同じタクソンを認識しているが、Centrospermaeの名称を使っている。日本語ではラテン名を意訳して中心子目とするか、アカザ目の名前を使う。

脚注



ナデシコ

ナデシコ

アメリカナデシコ

イヌコモチナデシコ 日本まるごと生き物図鑑

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