フライング・イン・ア・ブルー・ドリーム』(Flying in a Blue Dream)は、アメリカ合衆国のギタリスト、ジョー・サトリアーニが1989年に発表した3作目のスタジオ・アルバム。

背景

サトリアーニの過去の作品は全編インストゥルメンタルだったが、本作では18曲中6曲で、サトリアーニ自身がボーカルも兼任した。本作は約65分に及ぶ大作となり、サトリアーニはそれに関して「もし6曲のボーカル・トラックと4曲のインストゥルメンタル・トラックから成るアルバムだったら、"Strange"のような曲が生かされない」「ボーカル・トラックとインストゥルメンタル・トラックのバランスは、どう弄ってみても、結局は全18曲とも収録するのが一番だった」と語っている。

「アイ・ビリーヴ」は、サトリアーニの父が余命いくばくもなかった頃の辛い心境が反映された曲で、サイモン・フィリップスがドラムスで参加しており、サトリアーニとフィリップスは本作のリリースに先がけて、ミック・ジャガーが1988年に日本とオーストラリアで行ったツアーでも共演している。2部構成のインストゥルメンタル「ザ・フォゴットゥン」は、サトリアーニ曰く「地球の自然界における複雑な生存競争」を音楽として表現した曲で、パート2では自然界と人類の関係性を描写したという。

反響

母国アメリカでは1989年12月2日付のBillboard 200で23位に達し、自身2作目の全米トップ40アルバムとなって、1990年1月にはRIAAによりゴールドディスクの認定を受けた。ニュージーランドのアルバム・チャートでは19週トップ50入りして最高7位を記録し、2022年現在、同国における自身唯一のトップ10アルバムとなっている。

評価

第33回グラミー賞では、本作が最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞にノミネートされた。

フィル・カーターはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「サトリアーニの歌声は特段優れているわけではないが、アコースティック色が強く高揚感のある"I Believe"を筆頭に、彼の創造する音楽と実に調和している」と評している。また、広瀬和生は『BURRN!』誌1989年12月号のレヴューにおいて100点満点中82点を付け、サトリアーニの演奏に関して「彼のプレイは本当に多彩だし、そのギター・ワークは活き活きとした感情を伝えてくれる」、ボーカル・ナンバーに関して「速弾きがたっぷりと楽しめるスピーディーな3やファンキーな5、ZZ TOP風の8等々、味のあるヴォーカルが聴ける」と評している。

収録曲

全曲ともジョー・サトリアーニ作。

  1. フライング・イン・ア・ブルー・ドリーム - Flying in a Blue Dream - 5:22
  2. ザ・ミスティカル・ポテト・ヘッド・グルーヴ・シング - The Mystical Potato Head Groove Thing - 5:09
  3. キャント・スロー・ダウン - Can't Slow Down - 4:49
  4. ヘッドレス - Headless - 1:30
  5. ストレンジ - Strange - 5:02
  6. アイ・ビリーヴ - I Believe - 5:54
  7. ワン・ビッグ・ラッシュ - One Big Rush - 3:26
  8. ビッグ・バッド・ムーン - Big Bad Moon - 5:15
  9. ザ・フィーリング - The Feeling - 0:50
  10. ザ・フォン・コール - The Phone Call - 3:01
  11. デイ・アット・ザ・ビーチ(ニュー・レイズ・フロム・アン・エインシェント・サン) - Day at the Beach (New Rays from an Ancient Sun) - 2:03
  12. バック・トゥ・シャラ-バル - Back to Shalla-Bal - 3:14
  13. ライド - Ride - 4:56
  14. ザ・フォゴットゥン(パート1) - The Forgotten (Part One) - 1:12
  15. ザ・フォゴットゥン(パート2) - The Forgotten (Part Two) - 5:07
  16. ザ・ベルズ・オブ・ラル(パート1) - The Bells of Lal (Part One) - 1:19
  17. ザ・ベルズ・オブ・ラル(パート2) - The Bells of Lal (Part Two) - 4:07
  18. イントゥ・ザ・ライト - Into the Light - 2:30

参加ミュージシャン

  • ジョー・サトリアーニ - ボーカル(on #3, #5, #6, #8, #10, #13)、ギター、ベース、キーボード、バンジョー、ハーモニカ、パーカッション
  • ジョン・クニベルティ - シタール、パーカッション
  • ジェフ・キャンピテリ - ドラムス、エレクトロニック・ドラムス、パーカッション
  • ボンゴ・ボブ・スミス - エレクトロニック・ドラムス、パーカッション(on #5, #12, #13)
  • スチュアート・ハム - ベース(on #5, #17)
  • サイモン・フィリップス - ドラムス(on #6)

脚注

外部リンク

  • フライング・イン・ア・ブルー・ドリーム - Discogs (発売一覧)

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